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梅村 崇 Takashi Umemura

梅村 崇Takashi Umemura

  • 京都市 | KYOTO
  • 表千家 | OMOTESENKE

表千家茶道講師。高校時代に茶道と出合い、傾倒。大学で宇治茶同好会を主宰。農林水産省では日本茶の魅力を伝えるYouTube「BUZZ MAFF/日本茶チャンネル」を企画し、日本茶の振興にも尽力するほど無類の〝お茶好き〟。現在は茶の聖地である大徳寺を基盤に、茶人〝御茶村〟として活躍。裏千家学園で日本茶概論の講師も務める。

5年以上勤めた農林水産省を辞め、茶道家になったワケ。

梅村崇さんの経歴は少し変わっています。大学を卒業後、大学院を中退して農林水産省に入省。いわゆるエリートコースを突き進むその途中、「やっぱりお茶に生きたいから」と5年余りで退職。師匠のいる京都に移り住み、茶人〝御茶村〟として茶の道を歩むことになります。

梅村崇さん

きっかけは〝日本文化を何一つ語れない〟トラウマ

「中学生のとき外国でホームステイしたんです。そのとき日本人なのに味噌汁の作り方も知らないし、侘びも寂びも分からない。自国のことにもかかわらず日本文化についてなに一つ語ることができなかったんです。それがけっこうトラウマで……。

なにか日本的なことがしたいと思い、高校で茶道部に入ったのが最初です。そのときは、こんなにドはまりするとは思いませんでしたけど(笑)」

冬の放課後。夕暮れの茶室で5名ほどの部員とお稽古をしていたときのこと。ほかの部活の音や楽しげな笑い声が遠くに聞こえるなか、茶室には湯の沸くシューッとした音だけが静かに響いていた。

「お点前の後半で釜に水を足すんですが、水を入れた瞬間にシューッと響いていた音がすんと消えて静寂に包まれました。その瞬間、そこにいる5人がこの場の雰囲気を味わっている、誰も何も言わないのに、お互いにその感覚を共有していることが分かったんです。この経験はかなり感動的なもので……お茶って面白いかも、と思ったんです」

梅村さんの稽古場には湯の沸くシューッという音だけが静かに響いていた
湯の沸くシューッという音

茶道をインストールすると世界の見え方が変わる

「お茶の世界は、確かに日常とは少しかけ離れていますよね。独特な作法があったり、現代にはない常識が残っていたりして、一歩踏み出すのにためらう気持ちも分かるんです。でも、お茶ってある意味、新しい世界の入り口にもなるんですよ」

季節によって変化する空の色に気がついたり、野に咲く花を慈しむことができるようになったり。それまで興味のなかった工芸品に目を奪われることも。「いろんなアンテナが立つようになるんです。感覚が研ぎ澄まされて気づきを得る場面が増えていく。自分というハードに〝お茶〟がインストールされると、知らないままに一生を終えることがたくさんある、ってことに気づくんです。大げさかもしれないけど世界の見え方が変わりますよ」

梅村崇さん

お茶事はホームパーティー!

茶の湯の魅力の一つに「お茶事があります」と梅村さん。亭主が親しい人を招いて行う正式な茶会のことで料理や酒、菓子、お茶に至るまで約4時間かけてゆっくり行われるもの。私たちが知っている一般的な茶会とは茶事のなかの一部分を切り取った略式バージョンです。

梅村さんの茶室にかかっていた掛け物は「境静意自適(きょうしずかいじてき)。花入には秋明菊がいけられていた。
境静意自適(きょうしずかいじてき)

「茶の湯ならではの決まりごとはありますが、することといえば茶懐石料理をいただき、お酒を呑んで、お菓子を食べて、お茶を飲むだけ……ホームパーティーですね(笑)。

お酒が飲める年になってはじめて参加したんですけどこれがとても楽しいし、お茶が美味しくて」。亭主はテーマとなる掛け物を掛け、さらに花や菓子、茶碗、茶杓などを選び、茶の湯に適した料理を作って段取り良くお出しする。

そして客は亭主の意図を読み取りつつ、五感でそれらを感じ取って味わい、楽しむ。つまり、茶の湯のもてなしが凝縮されているのが茶事であり、今では梅村さんが亭主になることも少なくありません。

「なかでも私がはまっているのは茶懐石料理を作ること。飯と汁、向付にはじまり、煮物椀、焼物などへと続きますが、頭の中で整理しながら段取りよく提供できたときは本当に嬉しくて。昔は味噌汁一つ作れなかったんですけどね……(笑)」

その日の菓子は御倉屋の名物〝旅奴〟。黒糖を絡めた焼菓子で、表面はカリッとして口の中でホロリとくずれる。
旅奴

やっぱりお茶が好きだから

大学で農学を学び、茶樹の研究をしていたこともあって産地や品種、栽培方法についても精通する梅村さんは日本茶の普及にも取り組みます。

「僕はなによりお茶そのものが好き。お茶の先生でも生産現場について語れる人は意外と少なくて。抹茶ってどういうふうに栽培されるのか、煎茶とは何が違うのか。そういうことを伝えながらお茶の産業を守っていくことも大事なミッション。茶道と日本茶業界の垣根を越えて、茶文化発展の一助になれたらと思っています」

抹茶を点てる

流派を越え、カジュアルに茶道をつなぐ

昨今は、さまざまな流派の若手茶道家とともに茶会を開催。「流儀が違えど、同世代の茶道家が頑張っている姿を見ると刺激を受けますし、私たちが楽しんでいる姿を見た方々に、茶道って何だろう?面白そうだなと興味をもってくれる人がいるかもしれない」

「個人的にはもっとカジュアルにお茶を点てることを楽しんだらいいと思うんです。お茶を点てて飲んでもらうという行為こそ、茶道の根源的な楽しみですから。私自身、農水省時代には休憩時間になると〝ちょっとお茶でも飲みますか?〟って点てて楽しんでいました。

もちろん初心者の方は知らないことや間違うこともたくさんあると思いますが、それは何年か経って知識が深まったときに反省すればいいんです。そうやってもっと気軽にお茶を楽しむ人が増えてくれれば。70歳、80歳になったとき、周りに一緒にお茶を楽しんでくれる人が当たり前のようにいてくれること。それが私の夢でもあります」

梅村崇さん

自分で絵付けした朝日焼の茶碗

京都は宇治の茶陶、朝日焼の茶碗。なんとこれ、梅村さんご自身が絵付けを施したものだとか。文字は「七楽」。大徳寺の王林院のお茶の会「七楽会」にあやかったもの。

外側には伸びやかな松、内側には雄然とした山々を描いた世界に一つだけのオリジナルです。

朝日焼の茶碗
梅村崇さん
梅村 崇Takashi Umemura

稽古場:京都市北区 今宮神社近辺

@ochamura88

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