桧の香りと手触りで、毎日温泉気分です。谷川木工芸の湯桶・片手桶

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

語り手:高倉 泰

中川政七商店主催の展示会「大日本市」のディレクター。 日本各地の作り手と一緒に展示会やイベントを作りあげる。 古いものを生かした生活が好きで、奈良で築150年の古民家を改築し、 妻と2人の子どもと暮らしています。山形県出身。風呂好き。日本酒ナビゲーター認定者。

ブランド:谷川木工芸  
推しの逸品:湯桶・片手桶

谷川木工芸は、昭和30年、香川県木田郡三木町にすし桶製造所として産声を上げました。
創業以来、大切にしていることは「“手”が生み出す“木の温もり”」。
国内産の杉を使用し、桶を中心とした木製品をお届けしております。

私は無類の風呂好きです。1日2回、平均1.5時間は湯船に浸かっています。朝も夜も音楽を聞きながら本を読んでいます。家族には呆れられますが、私にとって家の中でも大切な場所なので、その満足度を高めるツールは必須でした。

中でも温泉で見かける湯桶は、いつか我が家でと憧れていた道具です。ちょうど去年、新しい家に引っ越した頃に谷川木工芸さんの湯桶と片手桶に出会い、思い切って樹脂製の桶から買い換えました。

1年も経つとだいぶ落ち着いてきましたが、使い始めは桧の香りが立って、本当に温泉にいるような気分が味わえます。手に持つとやわらかく、しっとりとした手触りです。

無臭でツルンとした樹脂製の質感にすっかり慣れていたので、道具を変えることでこんなに豊かな気持ちになれるのかと嬉しくなりました。

片手桶は持ち手が直角についているのですが、プリミティブな道具を使っている感じで新鮮です。コンパクトに置けて、小さめのお風呂でも使いやすいと思います。


重ねて置いた姿も美しいです。

この木肌の感じを保つのに、時々お手入れをします。我が家の桶は使用頻度が多いせいか少し黒ずんできたので、定期的にクレンザーとたわしで洗っています。

念のためメーカーさんにも問い合わせてみると、一回一回、ついた石鹸をしっかり落として風通しのいいところで乾かしておけば、キレイな状態を長く保てるとのことでした。その上で、「せっかくの湯桶でリラックスできる物がストレスになってしまってはいけませんので、私共は黒ずみなどを含め、木の変化を楽しんで頂ける事を推薦致します」と回答がきました。

もともと変化していく古材が好きな私にはばっちりハマる答えで、更に好きになってしまいました。今はコロナ禍でなかなか温泉も行きにくいですが、自宅でゆっくりとお風呂を楽しみたいと思います。
 

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