千筋椀(お椀や うちだ)


千筋が手にピタッと吸い付くお椀


わたしの好きなものは、越前漆器の老舗 漆琳堂のお椀ブランド「お椀やうちだ」の千筋椀(せんすじわん)です。
 
お椀や うちだの商品を最初に見た時、漆とは思えない鮮やかな色拭き椀のシリーズにとても惹かれました。
「漆ってこんな色も出せるんだな」
と感心し、紺色の色拭き椀を即購入したのをよく覚えています。

 
しかし、ひとしきり感心したあとに「いや、、、そもそも漆ってなんだ?」という思いが湧いてきます。
「わかっているようでわかってないぞ」と思ったわたしは「お椀や うちだ」の説明文に目をやりました。
 
”漆は元来、補強材として用いられていました。木をくりぬいただけのお椀は、汁物をすくいそのまま口に運ぶことが出来る、もっとも原始的な食器。割れ欠けを防ぎ、丈夫に長持ちさせるために漆を塗る、これが漆塗りのお椀の最初の姿です。
その後漆器は、強度と美しさを追求するため、作業工程が何十にも増え、高価になり、気付けばあたかも美術工芸品のような扱いをされるようになりました。
漆琳堂は福井県鯖江市で越前漆器を8代・200年に渡りつくり続けています。伝統技術の継承は大切ですが、私たちは保存されるものをつくりたいのではなく、毎日の暮らしの中で使い続けられるものをつくりたい。
その想いから、漆のお椀の原点に立ち戻った「お椀や うちだ」が生まれました。”
 
そうだったのかと目から鱗が落ちた思いでした。
伝統を大事にしながらチャレンジを続ける「お椀や うちだ」のファンになるのに時間はかかりませんでした。
 
 
さて、千筋椀の話に戻します。
 
写真からおわかりいただけるかと思いますが、千筋椀は木地に等間隔・同じ幅の細い筋を入れたお椀です。
お椀の外側に沿って筋が無数に入るので「千筋」と呼ばれています。
そして、その筋は木地師が轆轤(ろくろ)を回転させながらカンナ一本で入れているのです!
どうやったらこんな正確に筋が入れられるのだろうと思うと頭がクラクラしそうですが、千筋椀の本領はまさにこの「千筋に触れた時」に感じることができます。
 
両手でそっと持ち上げた時の、
「千筋が手の平にピトピトとフィットする心地よさ」×「お椀に入れた味噌汁などのあたたかい温度」
 
これです。
 
あたたかみが心地よく、しっかりと手の平に移ってくる感覚。
「ああ、幸せだな~~」と思わず呟いてしまうこと請け合いです。
 
また、千筋のおかげで他のお椀に比べるとグリップしやすく、手を滑らせてツルッと落としてしまうことも少なくなります。
 
というわけで、我が家ではもっぱら子どもたちのお気に入りに。
持って心地よく、口当たりも優しい千筋椀。
 
これからも一生付き合っていきたいと思うお椀です。


編集担当 緒方

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