地産地匠アワード2026
地産地匠アワード2026 受賞商品

地産地匠アワード2026

計62件のエントリーの中から一次審査を通過した14点を対象とし、
2026年5月28日・29日に最終審査を実施。
グランプリ1点、準グランプリ1点、優秀賞3点、審査員奨励賞2点が決定し、
9月2日の授賞発表式にて発表しました。
優秀賞以上の5商品は、10月中旬より販路支援を開始予定です。

応募地域

商品・応募者カテゴリー

メーカー

グラフメーカー

デザイナー(複数回答可)

グラフメーカー

グランプリ

グランプリ「izaiza」 KV
グランプリ「izaiza」1
グランプリ「izaiza」2
地域名
熊本県八代市
商品名
izaiza
メーカー
i t i i t i 田中 典子・村上 貴美
デザイナー
株式会社かつあき 佐藤 かつあき
i t i i t i 田中 典子・村上 貴美/株式会社かつあき 佐藤 かつあき

コンセプト

日本一のい草の産地・熊本県八代市で生まれた「izaiza」。最大の特徴は、伝統的な平織りではなく、い草を布に植え付ける「タフティング」を採用した点です。この独自の製法により、これまでの「畳」や「ゴザ」の概念を覆し、柔らかくも張りのある新感覚の触り心地を実現しました。また、い草の表面積が増え、綿の約3倍と言われる吸湿力や、ホルムアルデヒドを吸着・分解する空気清浄効果、そして心を落ち着かせる香りといった、い草本来の機能性を最大限に引き出しています。

受賞コメント

このたびは、数ある素晴らしい作品の中から このような栄えある賞をいただき、心より感謝申し上げます。審査員の皆さまから「これはイノベーションだ」という言葉をいただけたことが、何より印象に残っています。まるでい草畑を育てるように一目一目 植え重ねながら制作するい草のタフティング。この手法を評価いただけたことは、私たちにとっても産地にとっても、大きな励みとなりました。この受賞をきっかけに、熊本八代のい草が現代の暮らしに寄り添う素材として見直され、い草農家の営みが未来へつながっていくことを願っています。これからもい草をタフティングする第一人者として、熊本のい草の新たな可能性を切り拓いてまいります。

審査講評

日本一のい草産地・八代から生まれた、タフティングによる新しい敷物です。い草を縄状にして植え付けるという、誰もやらなかった手法。ゴザを織るには短い、成長不良のい草も活かすことができます。コントロールしきれない、い草という素材を受け止めながら、い草の当たり前を変えることに挑んだ発想と、それを実現した力は、い草の産地そのものを変えるかもしれない。新たな「地産」の地平を感じさせる、感動的な一枚でした。
大治 将典

い草でタフティングするという今までにない発想と、それを実現してしまう熱量に感銘を受けました。い草畑をイメージしたデザイン性や触り心地踏み心地の良さ等、商品としての魅力も高い点も素晴らしい。い草の短所を長所に変身させたことで、い草という素材や産地に対する見方が変わり、新たなイノベーションを生み出すきっかけになることがイメージできました。
長田 麻衣

い草、畳という工芸に関する課題は、ずいぶん前からアプローチされていた。しかし、その多くが畳というプロダクトの枠から出られず、ライフスタイルのダイナミックな変化に追いつけずにいた。本プロダクトはい草は使うが、畳ではない新たなプロダクトで、かつ、畳のポジションに近い敷物として機能している。この大胆な転換を可能にした技術と、それを実現させた工夫に驚きと共に賞賛をおくりたい。熊本という土地でい草や畳をすぐそばで見続けたお二方だからこそ、辿り着けた地平なんだと思う。
坂本 大祐

今回のプレゼンテーションから、産地・素材への新たな可能性、現場の執念が強く伝わり、クラフトマンシップ圧倒的なイノベーション性を感じました。畳の素材を理解しているからこそ、新たにガンタフト技法にチャレンジして、硬質な草に応用した発想そのものが革新的です。原風景をモチーフにしながら仕上げたデザインも斬新で好感が持てました。商品としての魅力は十分です。さらなる大型化やスケールアップに期待しています。
矢野 直子

準グランプリ

準グランプリ「SERENE」 KV
準グランプリ「SERENE メリノウールニューマイヤー毛布」2
準グランプリ「SERENE メリノウールニューマイヤー毛布」1
地域名
大阪府泉大津市
商品名
SERENE メリノウールニューマイヤー毛布
メーカー
川崎毛織株式会社 川崎 弘治
デザイナー
パンダ企画 廣瀬 友子
川崎毛織株式会社 川崎 弘治/パンダ企画 廣瀬 友子

コンセプト

大阪府・泉大津で毛布づくりを続ける川崎毛織。天然素材を中心に、風合いを極めるものづくりを続けてきた工場です。「SERENE」は「世界一の品質を目指す」という信念のもと生まれた毛布です。メリノ種の羊から採れる最高級の「メリノウール」のやさしい肌触りと、軽やかで包み込まれるような温もりは、ずっと触れていたくなる触り心地です。細やかなこだわりを詰め込んだ毛布は、毎日使うたびに、究極の心地よさを実感できる一枚です。

受賞コメント

高度成長期を支えた毛布づくりの技術は、今も日本の大切な財産です。しかし、暮らしや価値観が変化する中で、求められるものも変わりました。今回の受賞をきっかけに、泉大津の毛布づくりの技術や歴史、その価値を多くの方に知っていただき、その技術から生まれる新しい価値を暮らしの中で感じていただけたら嬉しいです。選ばれる商品をつくり続けることが、工場や産地の持続につながると信じています。

審査講評

毛布の産地・泉大津の機械を使いながら、天然素材と風合いに徹底してこだわったメリノウールの毛布です。地糸を黒にする、パイピングをしない。細部まで妥協のないつくりを支えるのは、「自分が使いたいから」というおもねらない動機。老舗メーカーと毛布を愛する個人が組んで生んだ、ふつうのラグジュアリー。心地よさを信じてつくられたこの毛布こそ、本当のラグジュアリーだと感じます。
大治 将典

触り心地が最高に気持ちが良く、ずっと抱きしめていたくなる毛布でした。「量産」ときくと、品質よりも効率というイメージがあっただけに、泉大津の高い生産技術を活かして、品質やデザイン性まで追求されている点が印象的でした。また、デザインにおいても顧客の声を取り入れながら、細部までこだわりぬかれており、モノづくりへの真摯な姿勢を感じました。
長田 麻衣

産地の技術と、つくり手の気概をまっすぐに受け止めて、リスクを取りつつ、最高のものづくりへと昇華させた、これぞ地産地匠という取り組み。化繊を用いて、安価で暖かく風合いのよい毛布をつくり出すために磨かれた技術で、素材を天然繊維に変えることにより、日本はもとより、世界のなかでも通用するような毛布になっている。もののよさは、見ればわかるし、さわればわかる。
坂本 大祐

産地に蓄積された技術を妥協ない品質の追求によって現代的に再解釈。老舗メーカーのものづくりの誇りを新たな価値へと昇華したプロダクトです。一人の毛布愛好家の強い思いが、量産ものづくりに長けた老舗を動かし双方の情熱と信念を感じます。細部に至るまで徹底的にこだわり、「自分自身が本当に使いたいものをつくる」という姿勢が品質の高さにつながっています。「普通のラグジュアリー」の実現が、業界関係者や産地の人々を共感させる可能性をひめていると感じています。
矢野 直子

優秀賞

優秀賞「友禅アートブラウス」 KV
優秀賞「友禅アートブラウス」1
優秀賞「友禅アートブラウス」2
地域名
東京都
商品名
友禅アートブラウス
メーカー
ユキヤ株式会社 大野 深雪・町田 久美子
デザイナー
KARMA et CARINA 北迫 秀明
ユキヤ株式会社 大野 深雪・町田 久美子/KARMA et CARINA 北迫 秀明

コンセプト

江戸の町人文化の中で育まれた東京手描友禅。その美意識を、現代の暮らしに寄り添う一着へと仕立てています。着物を思わせる背面のフレアや、着物の柄入れを踏襲した柄の配置など、和と洋が調和し、友禅の美しさが映えるシルエットに仕上げています。柄には、女性の活躍を願うミモザやカラーの花々を選び、職人が手書きした原画をスキャンし、デジタル捺染で繊細に表現しました。東京手描友禅の美意識を未来へ受け継ぐ、新たなファッションのかたちです。

受賞コメント

この度の優秀賞受賞、大変光栄に存じます。東京手描友禅は、江戸の暮らしや町人文化の中で育まれ、時代と共に特別な日の着物としても受け継がれてきた工芸です。私たちは、その美しい筆致を日常の一着としてまとっていただけるよう、職人の手仕事による原画と現代の先端技術を重ね、想いを込めてつくりました。大人がいつまでも愛着を持てる上質な日常着として、日常の装いから特別な時間まで、東京手描友禅のアートをまとう高揚感をぜひご体感ください。これからも新たな展開を重ね、多くの方の日常にこの高揚感を届けていきます。何気ない一日を少しだけ特別なものにしてくれる、そんな一着になれば嬉しいです。

審査講評

東京手描友禅の原画をデジタル化し、型紙に合わせて配置・捺染したブラウスです。原画を描いた職人に著作権が残る仕組みで生産され、手描きとデジタルだからこそできた新たな利益配分が素晴らしい。デザイナーの力量を感じたのは、ワンサイズで多様な体型に合うパターンです。審査会でも、誰が袖を通しても綺麗に着られていました。着物を意識しすぎず、友禅を「今着たい服」へアップデートしていることに感銘を受けました。
大治 将典

東京手描友禅の魅力をそのまま再現するのではなく、デジタル技術を活用して新たなデザインへ昇華している点が印象的でした。また、原画を職人の手元に残す仕組みにより伝統技術の継承と新たな価値創出を両立している点も素晴らしいと感じました。年代や性別を問わず着こなせるシルエットも魅力です。
長田 麻衣

工芸のよさ、手づくりのよさは、デジタル技術と相性がよくない。いや、よくないと思われていた。この友禅アートブラウスがたどり着いた地平は、デジタルを用いて、手書きの美しさを最大化すること、それによりデザインの幅は広がり、和服という平面のプロダクトが洋服という立体のプロダクトに置き換わった。過去の手書きのプロダクトも、この技術やデザインで、新しいカタチになる可能性も秘めている。今後の展開も楽しみだ。
坂本 大祐

東京友禅の美意識をデジタル技術と高度なデザイン力で再構築し、伝統工芸の新たな未来像を提示した意欲的なプロダクトです。東京友禅の図柄を単に転用するのではなく、一点一点の絵柄を再構成し、デジタル技術によって立体的な衣服表現へと昇華できているのは、デザイナーの力量が際立っている証拠ではないでしょうか。異業種とのコラボレーション、別注展開など、プロダクトを起点とした発展性が期待されます。天然素材へ新たに原点回帰するのも新たな発見につながりそうです。
矢野 直子

優秀賞

優秀賞「kodachi」 KV
優秀賞「Kodachi - Shichimi Spice Holder -」1
優秀賞「Kodachi - Shichimi Spice Holder -」2
地域名
長野県伊那市
商品名
Kodachi - Shichimi Spice Holder -
メーカー
株式会社やまとわ 中村 博
デザイナー
蓮池 陽子
株式会社やまとわ 中村 博 蓮池 陽子

コンセプト

地域の森林資源を軸にした循環型社会の構築を目指す「やまとわ」。「Kodachi」は、森を想う料理家とタッグを組み、信州伊那谷の多様な木を使って、生まれた七味入れです。一つ一つ手加工で仕上げ、木目の美しさが際立つように仕上げています。 また、食卓から森へと繋ぐプロダクトとして、地域の木を適切に使い森の循環を促し、豊かな森を未来へ繋ぎたいという願いも込められています。

受賞コメント

この度は優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。 伊那谷には多様な樹種が育ちながらも、十分に活かされていない木がたくさんあります。料理家・蓮池陽子さんとの出会いから生まれた七味入れ「kodachi」は、職人の丁寧な手仕事と技術の伝承によってかたちにしました。食卓に小さな木立を届けることで、使う方が森を身近に感じ、里山へ足を運ぶきっかけになればと願っています。この受賞を励みに、これからも伊那谷から森と暮らしをつなぐものづくりを一つずつ重ねてまいります。

審査講評

信州伊那谷の小径木を、職人が旋盤で削り出した木の七味入れです。棗(なつめ)の技術を残すという背景、小径木だからこそのサイズ感、料理家と組むセンス。そのすべてが絡み合い、売り場で見せたときの説得力は抜群だと思います。使う際に蓋と身の木目が揃うのも気持ちよく、棗という出自を感じます。用途を変えることで技術に新たな価値が生まれる、そのお手本のようなプロダクト。森の川上からものづくりの川下まで手がけるチームだからこそできた商品です。
大治 将典

若手職人が七味入れの製作を通じて棗づくりの技術を磨き、伝統技術の継承につなげている点が素晴らしいと感じました。また、里山の小径木を活用することで獣害対策にも貢献しており、地域課題の解決にもつながっています。産地の課題解決、優れたデザイン、生活者の使いやすさが無理なく結びつき、持続可能な循環を実現している点が印象的でした。
長田 麻衣

はじめて目にした時「どうして今までなかったのだろう?」そう思った。それくらい自然で素直なプロダクト。形状言語的に七味入れだとわかること。そのうえで、使う際の工夫が随所に仕込まれている。ただ素材を置き換えただけでなく、よりよくなっていることに好感を持った。素材の循環のことはもちろん、技術の継承という側面ももっており、この小さなプロダクトに、たくさんの想いや、産地の願いが込められている。
坂本 大祐

伝統的な棗の技術を継承するために、現代の食文化へ転換し、地域資源・技術・暮らしを結び付けた、完成度とストーリー性に優れたプロダクトです。 開閉や注ぎやすさなど細部まで丁寧に設計されており、木目の合わせを含めた仕上がりもよく、一見シンプルなデザインでありながら誕生の背景や発想に新規性を感じます。 地域資源と地域の技術が有機的に結びついており、その関係性に強い納得感を感じた小さな巨人です。
矢野 直子

優秀賞

優秀賞「kayoi」 KV
優秀賞「kayoi 通 菜切(なきり) / 合刃(あいば)」1
優秀賞「kayoi 通 菜切(なきり) / 合刃(あいば)」2
地域名
福井県越前市
商品名
kayoi 通 菜切(なきり) / 合刃(あいば)
メーカー
山田英夫商店 前澤 峻
デザイナー
株式会社TIDS 上島 弘祥
山田英夫商店 前澤 峻/株式会社TIDS 上島 弘祥

コンセプト

人と道具、使い手と作り手、人と人との通い合いを生むコンパクトな包丁。越前打刃物のルーツでもある菜切包丁を軸に、現代の居住空間や食材のあり方に寄り添う取り回しの良さ、毎日握りたくなるような心地と高い切れ味の両立、そして、研ぎ直しまでを道具の一部として考えることを大切に設計されました。 硬い野菜も切りやすい安心感や食材の鮮度を大切に出来る気持ち、ストレスのない研ぎ直しの工程を落とし込むことで生まれる道具を長く愛でる喜び、kayoi ¦通はそんな利便性を超えた先にある、人を想い、道具を想う、気持ちの豊かさを生み出します。

受賞コメント

“菜切包丁の良さを分かち合いたい” “切れ味を保ち、長く使い続けてもらいたい” そんな想いから「kayoi ¦ 通」の包丁は生まれました。「切る」という行為が、食材の鮮度は勿論、切り心地や舌触りなどを通じて日常の豊かさの実感に直結すると強く信じ、便利さや機能性の先にある“日々の営みの温度を高められるものに”と柄や刃の形や素材を整え、長く使ってもらえるように研ぎ直しの為の通い箱を考えました。そんな長く根付いてきた生活の道具に改めて無垢に向き合い生まれた創意工夫に、このような賞を頂けたこと、そして多くの方と想いを共有できる後押しを頂けたことに、大いに勇気づけられ、大きな喜びを感じています。

審査講評

越前打刃物のルーツである菜切包丁を、現代の台所に向けて仕立て直したコンパクトな包丁です。刃幅が広いぶん断面の角度が鋭くなり、野菜がスパッと切れる。菜切のその良さを再発見した目の付け所。切りやすさはもちろん、グリップの持ちやすさまで、プロダクトとしての純粋な良さがあります。通い箱による研ぎ直しの仕組みも含めた提案です。あえて言えば、工芸的な匂いがもう少し残っていてもいい。産地らしさのエグ味も、味わいとして届くことを期待します。
大治 将典

野菜を切った瞬間、包丁によって切れ味がここまで違うのかと驚きました。長く使い続けるためのメンテナンスを通じて産地とつながり続けられる仕組みも魅力的で、道具を無理なく大切に使うイメージがわきました。「通い包丁」のパッケージからは、使い手の暮らしを深く理解したうえで細部まで工夫がされており、強く印象に残っています。
長田 麻衣

包丁は1本だけでももちろん事足りる。それでも、この菜切り包丁を使うと、もう一本持ちたくなってしまう。用途にあわせて種類を増やしてきた包丁というプロダクトは、買う側の迷いを減らすためにも、万能な包丁、1本で事足りる包丁へと収斂(しゅうれん)していた。しかし、用途に合わせた形状には、利点はあるんだと再認識させられた。何より、この菜切り包丁で切った野菜は、味が違う。ミニマム、シンプルというデザインがもつ志向性を、ものづくりが引き戻した。両者の深い関係性の表出ともいえる。
坂本 大祐

日常にありそうでなかった菜切包丁に注目しその魅力を現代的なデザインと高い実用性で再発見し、使い手視点から再定義した完成度の高いプロダクトです。 切れ味、グリップの握りやすさなど、ヒアリングと試作を重ねた精度の高さとは裏腹に台所に自然となじむ佇まいは愛くるしさもあり、チャーミングな新しい存在です。
矢野 直子

審査員奨励賞

審査員奨励賞「TenF」1
審査員奨励賞「TenF」2
審査員奨励賞「TenF」3
審査員奨励賞「TenF」4
地域名
福島県
商品名
TenF MOBILE / BENTO / TESSHU
メーカー
福島県授産事業振興会
NPO法人銀河の森福祉会 銀河工房
社会福祉法人心愛会 コパン・クラージュ
デザイナー
TULIP EN MENSEN 横山 英也
プロデューサー
合同会社アレコレ 迫 一成
審査員奨励賞「極薄和紙の雨傘」1
審査員奨励賞「極薄和紙の雨傘」2
審査員奨励賞「極薄和紙の雨傘」3
地域名
愛知県名古屋市
商品名
極薄和紙の雨傘
メーカー
株式会社小川 小川 恭令
デザイナー
優雨 yasasame 名倉 奈央子

審査総評

審査員 大治 将典
一次審査の段階では、正直、小粒な年かと感じていました。しかしその印象は、実物を前にした二次審査で大きく覆されます。地味でも、足腰の据わった取り組みばかりでした。今回強く感じたのは「おもねらない」ことの大切さです。作り手が使い手を勝手に想定し、仕様やサイズ、価格を小さくまとめてしまうことは、「良きものを使いたい」という使い手の気持ちを抑え、使い手が変わる機会を奪ってしまいます。そしてもうひとつは、デザインとクラフトのバランス。デザインはコントロールする術、クラフトは受け止める術。両者は対立するものではなく、常に同時に存在するものです。大量生産がクラフト性を最小化してきた時代のなかで、このバランスを取り直し、クラフトの力を社会が取り戻していくこと。それこそが「地産地匠」の使命ではないかと、勝手ながら思っています。その一助となるべく、ここから生まれたものづくりへの支援を、これからも広げていきたいと切に願っています。

大治 将典

審査員 長田 麻衣
今回で2回目の審査員参加となりましたが、特に二次審査でのプレゼンテーションはどれも熱意にあふれ、多くの刺激をいただきました。審査を通じて改めて感じたのは、「作り手にも買い手にも無理のないプロダクト」の大切さです。産地の技術や伝統を残したいという思いや、自分たちが良いと思うものを届けたいという情熱は重要ですが、どちらかが相手の事情を背負いすぎると長く続く関係にはなりません。また、「こんな組み合わせで課題が解決するのか」と驚くような協業も多く見られました。伝統を未来へつなぐためには、残すべきものとアップデートするものを見極め、仲間が参加しやすい仕組みを広げていくことが重要だと感じました。

長田 麻衣

審査員 坂本 大祐
地産地匠は今回で3度目の授賞式を迎える。初回から審査をさせていただいていることで、各回の変遷とともに、日本のものづくりや、地域を対象にしたデザインの弛まぬ進歩を見させていただいて、毎回胸が震えると共に、未来への希望をより強く感じている。初回から一貫してある「産地に於ける原料の循環」という視点に加えて第二回では「プロダクトデザインとしてのよさへの回帰」そして本年に関しては「イノベーティブなアプローチ」を見せていただいた。工芸とイノベーティブは一見対極にあるように感じるが、時代や生活の変化に、細やかに対応してきた、或いは対応しやすいのは、実は工芸なのではないか?そう思わされた。原料の調達あるいは生産から技術、工作機械など、ものづくりの一連のプロセスが近接している産地だからこそ、イノベーティブなアイデアにチャレンジしやすいのではないだろうか?またその産地に寄り添っているからこそ見えてくるデザイン・クリエイティブの視点やアプローチ。これからの日本のものづくりの未来にわくわくしている。

坂本 大祐

審査員 矢野 直子
今年の受賞作に共通していたのは、地域に根差した素材や技術、文化に対して真摯に向き合いながら、その価値を現代の暮らしの中で再編集し、新たな可能性を切り拓こうとする姿勢でした。伝統を守ることに留まらず、異分野との協働やデジタル技術の活用、用途の再発見などを通じて、産地や工芸の未来を更新する挑戦が数多く見られました。特に印象的だったのは、制約を創造の源泉へと転換している点です。素材や技法が抱えている課題を乗り越えるための試行錯誤や、細部への徹底したこだわりが、単なる機能やデザインの向上を超えた新しい価値を生み出していました。その背景には、産地を残したい、技術を継承したい、あるいは本当に使いたいものを届けたいという作り手たちの強い意志があります。そしてそれを叶えるのは、大量生産でも一品生産でもない、作り手と使い手が納得するちょうどいい「適量」。この意味を静かに素直に発信してくれる意思を感じました。又、どの作品にも共通していたのは、プロダクト単体の完成度だけでなく、それを生み出した地域や人、ものづくりの物語まで含めて社会に提案していることです。こうした取り組みが広がることで、工芸や地域産業は単なる継承ではなく、時代に応答しながら進化し続ける存在であることを改めて教えてくれました。今回の受賞作は、その未来への可能性を力強く感じさせてくれました。

矢野 直子

販路支援

販路支援 中川政七商店店舗とオンラインショップ

2026年10月14日より、中川政七商店店舗とオンラインショップを中心に販売開始予定です。

※取り扱い店舗は変更になる可能性があります。最新の販売状況はお問い合わせフォームよりご確認ください。

<オンラインショップ企画展>