生地全面を埋め尽くすように施されたこぎん刺し。実物を目の前にしたとき、多くの人がその細やかな表現の美しさに魅了されます。
青森の農村で、厳しい冬を乗り越えるために、衣服の補強と防寒を目的に営まれた刺し子は、生活のなかで美しさの頂点と言えるまでに昇華されました。
今回はそんな「こぎん刺し」をテーマに、くらしの工藝布を作りました。
こぎんという技を生み出した人々に敬意をこめて、現代に残る昔の着物に刺されていた文様を元に、できるだけそのまま写し取っています。
時代が変わろうと色褪せることのない、ゆるぎない手仕事の美しさをお届けします。
こぎん刺しは「刺し子」の一種とされていますが、ほかの地域で見られる針仕事と大きく異なる点があります。それは、下地となる生地の経糸1本1本の目を数えながら、緯糸に沿って、織物の目と目の間に正確に刺していく緻密な技法であること。
そうして生まれたこぎん刺しの醍醐味は、生地の上を埋め尽くすように施された刺し模様にあります。
手間ひまかけて生み出される刺し模様を目の前にしたとき、多くの人がその細やかな表現の美しさに魅了されます。





保存された昔の着物の中でも、特に興味深かったのは、組み合わされた模様が、さらに模様を囲むことで広がっていく図柄。小さな模様を連続させた図柄の端正さとはまた異なる、大胆な美しさがあります。
そんな手仕事の妙に目を見張らせ、昔の着物に刺されていた文様を写し取りながら、オリジナルの図案を描いていただきました。
ごぎん刺しは刺し子のひとつであるものの、その数学的な構成から一見織物に見えることもあり、現在では「ごぎん 織」といいうぎん風文様の織物も作られています。また日本だけでなくアジアやヨーロッパにもごぎんに似た織物が存在し、文様そのものを見れば、どことなく国の文化を越えた雰囲気も漂います。織物の特性を生かし、精緻なごぎん刺しとはまた異なった、柔らかく表情豊かな 生地が織り上がりました。
11月5日(水)より、オンラインショップのほか、下記店舗で販売いたします。店舗によって品揃えは異なります。
