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Inswirl

インスワールInswirl驚くほど柔らかく軽い。
野生の鹿の革でつくる
100%日本産の革製品

長野は善光寺門前に店を構え、日本国内で駆除・狩猟される野生鹿の革を用いて、地球環境に配慮したものづくりを行うライフスタイルブランド。美しいドレープを描く巾着バッグや驚くほど軽くてしなやかなポーチ・財布など、鹿革ならではの特性を生かし肩肘張らずに楽しめる、心地良いデザインのレザーアイテムを届ける。

STORY

野生の鹿革だからこそ。すべてが一点ものという贅沢

およそ60万頭。日本で1年間に鳥獣駆除や狩猟で捕殺される野生鹿の数である。鹿肉はジビエ料理として楽しまれることも多いけれど、皮はというと、そのまま廃棄されることがほとんど。そんな現実に疑問と興味をもったことをきっかけに、野生鹿の革に着目し、試行錯誤を重ねながら個性的でお洒落なレザーアイテムを生み出しているのが「Inswirl」だ。

Inswirlのおふたり

長野・善光寺門前の古民家をリノベした小さな工房

長野市の善光寺から徒歩10分。表参道から1本脇に入った道路沿いに「Inswirl」はある。看板には〝アルミサッシ〟〝建具〟といった文字。ここは何屋さん?「以前はコインランドリーで、その前は建具工務店、その前は……」と話すのは店主の和田侑さん。「この建物は80年ほど前に2つの建物を曳家(建築物をそのままの状態で移動する日本の伝統的な建築工法)でつなげた古民家で、どこか懐かしく落ち着いた雰囲気が心地良くて、工房兼ショップにしました」

創建以来約1400年の歴史を持つ信州善光寺
創建以来約1400年の歴史を持つ信州善光寺。多くの参拝客で賑わっていた。
ツタの絡まる雰囲気ある外観
ツタの絡まる雰囲気ある外観。
リノベーションしてショップ兼工房に
縫製工場や建具工務店、コインランドリーを経て空き家になっていた物件をリノベーションしてショップ兼工房に。看板はそのまま。

野生鹿の皮が、ただ捨てられるという現実

野生鹿の皮との出合いは、長野市内のイタリア料理店で働く友人の話から。冬にジビエ料理を提供し、お肉は少しずつ活用され始めているものの、皮は多くが廃棄されているという事実を聞いたことがきっかけという。
かつてアパレル会社に勤務し、鹿革を扱った経験のある和田さんは「良質な鹿の皮がただただ廃棄されるだけ」という現実に衝撃を受けた。

Inswirl店主の和田侑さん
Inswirl店主の和田侑さん。主に営業・販売を担当。

「農作物の食害問題などもありますから、共生していくためにはある程度の鹿の駆除は必要なのは分かります。でも、ただ駆除して終わりなのではなく、肉は食べて、皮もきちんと使うなどして命を循環させていけたらいいのに。そのためにもっとできることがあるんじゃないかと思ったんです」

かくして2020年3月、同アパレル会社で皮革製品の製造担当だった妻の美名子さんとともに、野生の鹿革を使ったアイテムをつくるInswirlを構えることにした。

穴あり、キズあり。個性豊かな野生の鹿革

「あたりまえのことですが、野生鹿革には一つとして同じものがないんです。サイズはもちろん、厚みや柔らかさ、風合いに至るまで、革の表情は一枚一枚すべて違う。それに……」と和田さんが見せてくれた鹿革が、これ。

全長1mほどの鹿革。
全長1mほどの鹿革。牛革に比べるととても小さい。
ところどころに 穴

よく見ると、ところどころに穴が開いていたり、小さな傷や擦ったような痕もある。「野生鹿は野山を自由に走り回り、喧嘩も沢山するから、傷がすごく多いんです。製品にするときに扱いにくいといえばその通りなんですが(笑)、私たちとしては傷のところまでも仕様に問題がない限り使うことをコンセプトにしています」とデザイン・縫製を担当する美名子さん。

傷を目立たなくするという工夫も
傷部分を縫い代にくるように配置して、傷を目立たなくするという工夫も。

たとえば、金型を使って裁断するとき。縫ってしまえば見えなくなる縫い代に傷部分をはめ込んだり、バッグの底部分に傷のある部分を使ったり。なるべく傷が目立たなくなるように配置を考えながら裁断していくとか。「それこそ1ミリ単位での作業になる」とか。「お客様にとってより良いモノをつくるため、そして野生鹿の革を使わせてもらうのだから、なるべくロスを出さないようにしたいから」(和田さん)

自然の恵みでなめした天然皮革

同店で扱う鹿革は、皮革の一大産地である兵庫県たつの市にある、ジビエレザー専門のタンナーから仕入れている。タンナーとは動物の皮をなめす業者のことであり、なめすとは「簡単に言えば、皮から革にすること。つまり、そのままでは腐ってしまう動物の原皮を、丈夫な革という素材に変えるための重要な工程です」

天然皮革
大きなドラムのような機械

原皮についた肉や脂肪、毛などを取り除き、厚さを均一にするなどの調整をした後、大きなドラムのような機械になめし剤とともに鹿皮を入れて時間をかけて揉んでいく。一般的になめし剤にはクロムなどの化学薬品を使うことが多いが、和田さんたちの鹿革は植物タンニンという植物由来のなめし剤を使う方法を選択。

さらに表面への塗装や色止めなどの加工も最小限に留めることで、天然皮革本来のナチュラルな風合いや表情を生かすことも同店ならでは。大切にしているポイントである

柔らかな質感だからこそのものづくり

さて、工房に戻って作業風景を拝見。「鹿革は〝革のカシミヤ〟と呼ばれるほどに柔らかいのが特長なんですけど、柔らかいからこその難しさがあるんです」と美名子さん。

縫い代をつくる美名子さん
皮漉機で革の端を漉いて、縫い代をつくる美名子さん。

「たとえば、革同士を縫い合わせる場合。そのままだと分厚くなるため、レザークラフト専用の皮漉機で革の端っこを漉いて縫い代をつくるんです。柔らかくて薄い鹿革は機械に絡みついたり、よれたり、ときには破けてしまうこともあって、とにかく慎重に進める必要があるんです」

一方で、柔らかいからこそ表現できることがある。

かわいい巾着ポーチ
ドレープが美しい、コロンとした形のかわいい巾着ポーチ。
繊細な作業
がま口の口金に鹿革を巻きつける和田さん。繊細な作業だ。

同店の人気商品である巾着バッグの豊かなドレープ感はまさに鹿革だからこそ描ける美しさ。ハンドバッグや財布に付けるがま口の口金にも薄く漉いた鹿革を巻きつけるが、カーブにきれいに添うような加工ができるのもまた、柔らかな質感ゆえの技である。

驚くほど軽く、使うほどにツヤが出る

Inswirlにはバッグやポーチ、財布など柔らかな質感を生かしたさまざまな製品がある。肩肘張らずに使える、心地良いデザインが特長ながら、驚いたのはその軽さだ。皮革製品はどちらかというと重たいイメージがあるけれど、いずれもふんわりという形容詞が似合うほどに軽い。

「それに鹿革は油分が抜けにくく、使うほどにしっとりとしてツヤが出てくる。薄いのにもかかわらず丈夫だし、長く愛用していただけることも魅力なんです」(美名子さん)

Inswirlの商品
Inswirlの商品

ちなみに店名のInswirlとは、前置詞の「in」と、渦を意味する「swirl」をかけ合わせた造語とか。「自分たちの理念や活動に多くの方に知ってもらい、巻き込んでいけたら」……そんな想いが込められている。

店内からの外の景色
作り手情報

Inswirl 所在地:長野県長野市大字鶴賀田町2403-1-2
創業:令和2年(2020年)
公式HP:
https://www.inswirl.com/

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