トップメッセージ

2002年入社当時、中川政七商店にはビジョンがありませんでした。2007年に「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げて、会社は大きく変わりました。

2009年から始まった経営再生コンサルティング。これまで十数社の再生に成功しました。2011年には流通プラットフォーム「大日本市」が始まり、今では50を超える工芸メーカーが集います。

全てはビジョン達成のためにある。

愚直にビジョンを追い求める中で、やるべきことは増え、背負うべきものが重くなっていきました。さらにここにきて、工芸復活のためには「産地」という単位で物事を考えなければならないという現実に直面し、2017年「日本工芸産地協会」を立ち上げ、また中川政七商店としては「奈良に注力する」ことを決めました。

そこで「工芸は千石」が、「奈良は中川」がそれぞれ当たるということになり、代を譲ることとなりました。中川政七商店300年の歴史の中で一族でないものが代を継ぐというのは初めてのことです。しかしビジョンに従い、「為すべきことを成すため」に判断したまでです。

これからもビジョン達成に向けてそれぞれ精進していきます。

株式会社中川政七商店
代表取締役会長
十三代 中川政七

株式会社中川政七商店 代表取締役会長 中川 政七

最初のブランド「遊 中川」を1985年に立ち上げて以来、中川政七商店は、日本の工芸をベースに全国各地800社を超えるメーカーとものづくりを続けてまいりました。

そのわずか数十年の間にも、暮らしの変化の中で姿を消した日本の工芸はたくさんあります。

私たちが知るその多くは、失われたことがニュースなるようなものでも最後の一つが美術館に飾られるようなものでもありません。

でも、一度失うと取り戻せないという意味では同じ重さを持つと断言できます。

全国そこかしこの工場で、工房で、小さな部品にさえ施される丁寧な仕事と作り手の静かな誇りにふれるたび、何とかこれを次の時代に残していけないものかと祈るような気持ちになります。

産地で生まれ、育まれた工芸を使うことで残していく。時代に沿う形に変えていく。作り届けることによって、日本の工芸を元気にする。

私たちのものづくりが、次の100年に工芸を繋げる一助となることを信じて。社員一同、これからも誠実に前を向いて進んでまいります。

株式会社中川政七商店
代表取締役社長
十四代 千石あや

株式会社中川政七商店 代表取締役社長 千石あや